top of page
検索

#7 日本の地域資源・技術を活用したクラフトマンシップ 〜COCOROSTORE〜

執筆者の写真: CO:Design & Strategy
CO:Design & Strategy
7 時間前
読了時間: 4分


中国地方は本州西部に位置し、瀬戸内海に面した山陽地方と、日本海に面した山陰地方からなる地域である。豊かな自然や神話、歴史文化に恵まれ、日本ならではの風景や暮らしが今なお色濃く残されている。


近年では、広島県・岡山県・山口県をはじめ、中国地方全体で外国人延べ宿泊者数が過去最高を更新するなど、海外からの注目も高まっている。こうした中、地域に受け継がれてきた資源や歴史、ものづくりの技術を強みに、新たな価値を創出しながら海外市場へ挑戦する企業も増えている。


CO:Designチームは、JETROとパーソンズ美術大学が共同で実施したワークショップに参加した中国地方を代表する5社を訪問した。各社のものづくりの現場を見学するとともに、経営者や職人が受け継いできた技術や哲学、そして海外市場への挑戦にかける想いに耳を傾けた。


本シリーズでは、各社のものづくりに込められた価値や地域とのつながり、さらに海外展開への取り組みを通して得られた学びや気づきを紹介する。


COCOROSTORE(合同会社あとあとの)(鳥取県)

〜暮らしの中に息づく、鳥取の手仕事を世界へ〜


鳥取県倉吉市にある民藝クラフトショップ、COCOROSTORE。合同会社あとあとのが運営し、鍛造刃物や郷土玩具、陶磁器、木工・竹工品、家具、和紙、ガラスなど、約40社の地元メーカーの商品を取り扱っている。


オーナーの田中信宏氏が店をオープンしたのは2012年。もともと家具職人を目指して長野県の家具メーカーに勤務していた田中氏は、一度地元を離れたことで、改めて故郷・鳥取のものづくりの質の高さに気づいたという。


「せかいには人の手でしか作れないモノがある。」


この言葉を合言葉に、COCOROSTOREは鳥取の職人たちが生み出す品々を、国内外の人々へと届けている。



鳥取県倉吉市にあるCOCOROSTORE
鳥取県倉吉市にあるCOCOROSTORE
店舗の外観
店舗の外観
COCOROSTOREの合言葉 「せかいには人の手でしか作れないモノがある。」
COCOROSTOREの合言葉 「せかいには人の手でしか作れないモノがある。」


「暮らしの中の美」を見つめた民藝運動


鳥取県は、日本の「民藝運動」と深いつながりを持つ地域でもある。「民藝」とは、「民衆的工藝」を略して1925年に生まれた言葉だ。


その中心人物である思想家・柳宗悦(やなぎ むねよし/そうえつ)が注目したのは、有名な作家がつくる美術品ではなく、名もなき職人たちが日々の暮らしのためにつくる器や布、籠、家具などだった。


長年受け継がれてきた技術と、地域の素材や暮らしから生まれる日用品。柳は、そうした何気ないものの中にこそ、美しさがあると考えた。それが、民藝運動の原点である。



「民藝運動の父」と呼ばれる柳宗悦
「民藝運動の父」と呼ばれる柳宗悦
柳宗悦らが日本各地で収集した工芸品を展示するため、東京・駒場に建設された日本民藝館
柳宗悦らが日本各地で収集した工芸品を展示するため、東京・駒場に建設された日本民藝館


柳の思想を、鳥取で形にした吉田璋也


この民藝の思想を鳥取のものづくりへとつなげたのが、鳥取市出身の医師・吉田璋也(よしだ しょうや)だった。


柳宗悦と交流を深めた吉田は、古い工芸品を保存するだけでなく、地元の職人とともに、その時代の暮らしに合った新しいものをつくることを目指した。1931年頃から牛ノ戸窯をはじめ、陶磁器、木工、竹工、染織などの職人たちと協働。地域に受け継がれてきた技術を活かしながら、新しい工芸品を生み出していった。こうした取り組みは、後に「新作民藝」と呼ばれるようになる。


さらに吉田は、つくるだけではなく、「つくる・売る・使う・伝える」仕組みもつくった。工芸品を販売する「たくみ工芸店」、民藝の器や家具を実際に使う「たくみ割烹店」、そしてその文化を伝える「鳥取民藝美術館」。職人の手仕事を暮らしや市場へとつなぐことで、鳥取に独自の民藝文化が根付いていった。



鳥取で民藝思想を広めた、吉田璋也
鳥取で民藝思想を広めた、吉田璋也


約100年後、鳥取の手仕事を世界へ


それから約一世紀。吉田璋也が目指したものづくりと、現在のCOCOROSTOREの取り組みには、時代を超えて重なる部分がある。


地域に受け継がれてきた技術を、今の暮らしへつなぐこと。そして、職人がつくったものを、新しい人や市場へ届けること。


COCOROSTOREは、鳥取の工芸品を販売するだけでなく、職人やメーカーとともに、その魅力を新しい顧客や市場へ届ける役割を担っている。そして現在、その先にあるのは日本だけではない。海外の人々や異なる文化とのコラボレーションを通じて、鳥取の素材や職人技術を活かしながら、新しい市場に合ったものづくりの可能性を探っている。


かつて柳宗悦が、暮らしの中に埋もれていた手仕事の美しさを見つけ、吉田璋也がその思想を鳥取のものづくりへとつないだように。COCOROSTOREは今、鳥取の手仕事と世界をつなぎ、その価値を次の時代へと届けようとしている。







出典:



 
 
 

コメント


bottom of page